沖縄の海草藻場は魚のゆりかご|親子で知るブルーカーボン
沖縄の浅い海をのぞくと、砂地の上で細長い葉がゆれる「海の草原」に出会うことがあります。これは海草が集まって育つ海草藻場(かいそうもば)。小魚の隠れ家になり、海底の砂を安定させ、炭素をたくわえる大切な場所です。サンゴだけではない沖縄の海の主役を、親子で見つけてみませんか。
海草は、海の中で花を咲かせる
「海草」と「海藻」は、読み方も見た目も似ていますが、別の生き物です。海草(うみくさ)は、陸上の草のように根・地下茎・葉を持ち、海中で花を咲かせて種子でも増える種子植物です。沖縄県は、リュウキュウスガモやウミヒルモなどを例に挙げています。
一方、海藻(うみも)は胞子で増える藻類です。岩などに付着して育つものが多く、沖縄の食卓で身近なオキナワモズクも海藻の仲間。どちらも光合成をしますが、育ち方と炭素のたくわえ方には違いがあります。
| 比べる点 | 海草(うみくさ) | 海藻(うみも) |
|---|---|---|
| 増え方 | 花を咲かせ、種子や地下茎で増える | 胞子で増える |
| よく育つ場所 | 穏やかで浅い砂泥底 | 主に岩礁など |
| 沖縄の例 | リュウキュウスガモ、ウミヒルモ | オキナワモズク、ホソエガサ |
| 炭素の行方 | 葉や根が取り込んだ炭素が海底の土にもたまりやすい | ちぎれた藻体の一部が深海へ運ばれ、炭素が貯留される |
なぜ「魚のゆりかご」と呼ばれるの?
水産庁は、藻場が魚などの産卵場や、幼い魚が育つ保育場、餌場になると説明しています。葉が何層にも重なる場所には、小さな魚やエビ、カニ、貝、ナマコなどが身を隠せます。広い砂地だけの場所と比べて、流れや外敵から逃れる小さな空間がたくさんあるのです。
沖縄県水産海洋技術センターは、沖縄島北部の羽地海域などで、シロクラベラの幼魚が夏の数か月を海草藻場で過ごし、成長に伴って沖へ移ると考えられることを報告しています。私たちが大きな魚を見るずっと前に、その命を支えている場所が浅い海にあります。
藻場が海を支える4つの役割
| 役割 | 海の中で起きていること | 観察のヒント |
|---|---|---|
| 生き物を育てる | 産卵場、幼魚の保育場、餌場になる | 葉の間を急がず見ると、小魚や甲殻類が見つかることも |
| 水を整える | 栄養塩や二酸化炭素を吸収し、酸素を供給する | 水面から濃い緑の帯に見えることがある |
| 砂を安定させる | 地下茎が底質を支え、葉が浮遊物をこし取る | 根元を掘らず、砂を巻き上げない距離で観察 |
| 炭素をたくわえる | 光合成で取り込んだ炭素の一部を海底などに貯留する | 見えない働きも「海の森」の一部と考える |
ブルーカーボンは、海にたくわえられる炭素
沿岸や海の生態系が光合成で二酸化炭素を取り込み、その炭素が海底や深い海などにたくわえられたものを「ブルーカーボン」と呼びます。環境省が挙げる主なブルーカーボン生態系は、藻場、塩性湿地・干潟、マングローブ林です。
日本は2022年度の温室効果ガス排出・吸収量について、海草藻場と海藻藻場を合わせた吸収量を約35万トン(CO₂換算)と算定し、国連へ報告しました。海草と海藻の両方を合わせて国の吸収量に算入したのは世界で初めてです。
数字の読み方:約35万トンは2022年度の日本全体の海草藻場・海藻藻場によるCO₂吸収量です。沖縄だけの量ではありません。また、藻場の価値は炭素吸収だけでなく、生き物の保育場や水質浄化など複数の働きを合わせて考えることが大切です。
沖縄らしい藻場を見つける
沖縄の海草藻場は、サンゴ礁に囲まれた浅く穏やかな海や、内湾の砂地などに発達します。水面から見ると、明るい砂地の中に濃い緑色の帯や斑点のように見えることがあります。海況が穏やかで透明度が高い日なら、シュノーケリングで葉のゆれや小さな生き物を観察できることもあります。
ただし、藻場がある場所は必ず泳ぎやすいとは限りません。水深、潮の流れ、船の航路、漁業利用、立入ルールは場所ごとに異なります。初めての海では、地元の管理者やガイドの案内に従い、その日の海況に合う場所と方法を選んでください。
親子で観察する時に守りたいこと
- 密集した海草の上へ立たない。足やフィンで葉を踏まず、根元の砂を掘らないようにします。
- 生き物を追い回さない。葉の間で休む幼魚や小さな生き物は、少し離れて静かに観察します。
- 海草・海藻を抜かない。採取の可否は漁業権や地域ルールにも関わるため、持ち帰りません。
- フィンで砂を巻き上げない。水平姿勢を意識し、浅すぎる場所では無理に進みません。
- 見つけた場所のルールを先に確認する。保護区域、遊泳区域、船の出入りを現地表示で確かめます。
子どもには「海草の間に赤ちゃんの魚が隠れているかもしれないよ」と声をかけると、触るよりも探して観察する遊びに変わります。見つけた数を競うのではなく、葉の揺れ方や砂地との色の違いを一緒に話すだけでも、海の見え方が豊かになります。
サンゴの隣にある、もう一つの海の森
沖縄の海というとサンゴ礁が注目されますが、浅い砂地の海草藻場も、多くの命をつなぐ大切な場所です。小魚を育て、水を整え、砂を支え、炭素をたくわえる。目立たない緑の草原を知ると、海遊びは「きれいな景色を見る時間」から「海の仕組みを見つける時間」へ変わります。
BlueJoyのSUPやシュノーケリングでも、自然を傷つけず、その日の海況に合わせて楽しむことを大切にしています。海草の葉が揺れる浅場に出会ったら、少し距離をとって、小さな海の森をのぞいてみてください。
参考にした公式・専門情報
- 環境省|ブルーカーボンとは
- 沖縄県|ブルーカーボン
- 水産庁|藻場の働きと現状
- 環境省|2022年度の我が国の温室効果ガス排出・吸収量について
- 沖縄県水産海洋技術センター|シロクラベラ(マクブ)の幼期の生態
ブログ一覧では、サンゴ礁を守る海遊びマナーや、沖縄の海岸漂着ごみについても紹介しています。海に入る前に、足元にある自然の役割も家族で話してみましょう。
沖縄北部の海遊びは、BlueJoyへご相談ください
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